定期通院とストレスコントロール・EV-ICDという新しい選択肢

入院通院

3ヶ月に一度、循環器内科に通っています。

心臓に不整脈があるため、これまでにICD(植込み型除細動器)を植え込み、日々の生活の中でもある程度の注意が必要です。今回は定期通院の日でのことでお伝えです。

通院の内容はいつもと同じで、まずは血液検査と心電図を測定し、その後、担当の先生の診察を受けます。これが3ヶ月ごとに続いているのですが、今回は少し気になる話がありました。


カリウムは正常、心電図も問題なし

検査結果を聞くと、「カリウム値は正常で、心電図も特に問題は見られない」とのことでした。ホッとひと安心。しかし、気になる点もありました。

最近、不整脈の症状が強く出たことがあり、その原因について先生と話す中で、「ストレスが非常に大きな要因ではないか」との指摘がありました。


ストレスによる心室細動の可能性

診察中、先生はこんなふうに説明してくれました。

「直近に起こった心室細動については、仕事の環境やその時の精神的な負荷が大きかったようですね。おそらく、ストレスが引き金となって心室細動が出た可能性が非常に高いです。」

心室細動は、命にかかわるような重大な不整脈。ICDが作動してくれるとはいえ、決して軽視できるものではありません。

先生は続けてこう話してくれました。

「今後も同じようなストレス環境に置かれた場合、同様の心室細動が再び起こるリスクがあります。ですので、自分にとってストレスが限界に近づいていると感じたときは、“これ以上は無理”というラインを自分で明確にして、コントロールすることが大切です。


年齢とともに変わる「限界」

さらに印象的だったのが、次の言葉です。

「**年齢を重ねると、ストレスの“上限”も徐々に下がってきます。**若い頃は耐えられたことが、今ではしんどく感じるようになるのは自然なことです。ですから、我慢をしすぎず、“もう無理だ”と思ったら、その環境を離れる、辞めるという選択肢も必要です。」

無理を続けることで、再び心室細動が起きるかもしれない——そう考えると、仕事や生活のスタイルを見直すことも、本当に必要な「治療」の一部なのかもしれません。


ICDのバッテリー残量と入れ替え時期

もう一つ、今回の診察で話があったのがICDのバッテリー残量についてです。

現在のICDは、数年前に植え込んだものですが、すでにバッテリーは半分以下になっているとのこと。まだすぐに交換が必要というわけではないけれど、おおよそ2030年頃までには入れ替えが必要だろう、という説明を受けました。

この入れ替えのタイミングで、今後の選択肢のひとつになるかもしれないと紹介されたのが、「EV-ICD(Extravascular ICD)」という新しいデバイスでした。


EV-ICDとは? S-ICDとの違いと期待される特徴

EV-ICDとは、「Extravascular ICD(血管外植込み型除細動器)」の略で、心臓の内部にリード(電極)を挿入しないタイプの新しいICDです。これまで主流だったICDやS-ICD(皮下植込み型除細動器)と比べて、いくつかのメリットがあるとされています。

主な特徴:

  • 心臓の外側(胸骨裏)にリードを留置するため、静脈にアクセスせずにすむ
  • 感染リスクが低い
  • ATP(抗頻拍ペーシング)やペーシング機能を備えている(S-ICDにはこの機能がない)
  • 本体が小型・軽量(容積はS-ICDの約半分)

このように、EV-ICDは**「S-ICDよりも多機能で、かつ侵襲性が低い」**という点で注目されています。

実際、2025年3月には日本でも保険適用が開始され、岡山大学病院をはじめとする一部の医療機関で、すでに植込みが行われています。

2030年に入れ替えが必要になる頃には、EV-ICDがより一般的な選択肢として広まっているかもしれません。医療の進歩には本当に驚かされます。


自分自身の「限界」を知ること

今回の通院を通じて、改めて大切だと感じたのは、「無理をしないこと」「自分の限界を見極めること」です。

仕事や家庭、人間関係——日々の生活の中には、思っている以上にたくさんのストレスがあります。そしてそのストレスが、体の不調として現れることもある。

心臓は正直です。無理をすれば、ちゃんとサインを出してくれる。

それに気づけるかどうか。そして、そのサインを見逃さず、自分の体を大切にできるかどうか。それがこれからの課題なのだと思います。


次回の通院は3ヶ月後。
それまで無理をせず、ストレスとうまく付き合いながら過ごしていこうと思います。

※参考は2025年3月段階での内容です。

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